患者さんから質問されました
ある患者さんから質問されました。
「料理教室で何を習うのですか?」と。
私が通っている料理教室のテーマが薬膳養生料理研究です。
それで料理教室で習うことは、「季節」を考慮に入れながら、食べる人の「体質・体調」を考えて食材を選び、「調理方法」を考え料理を作る、ということです。
日本には四季があります
日本には春夏秋冬と季節の違いがあるので、食べ物の「旬」という概念があります。
ですから季節に合わせた料理を習います。
それぞれの季節ごとに収穫できる食材(野菜や果物、魚介類等)が異なります。
夏は体を冷やすような食材が多く採れますし、冬は体を温める食材が多くなります。
自然はとても良くできていると思います。
ただ残念なことに現代の日本はビニールハウスで育てられた野菜が多くなっていますし、輸入されている食材が多いために、「旬」というものを感じることが少なくなっています。
ですから逆に「旬」を大切にしないと、真冬に体を冷やす食材を食べて胃腸が弱り、ばててしまったりします。
また遺伝子組み換え食物や農薬、動物への抗生物質の投与なども問題になっています。
東洋医学では人間も自然の一部として考えていますから、自然に逆らうと病気になるということになります。
人の体は食べ物からできている
私が通っている料理教室は、ただ単純に西洋料理とか和食とか中華とかいったジャンルで料理を習っているわけではありません。
また、好きな食材を好きなように料理するというわけでもありません。
食事を通じて健康になれるようにしよう、という考えの元で料理を研究しているということです。
そもそも料理を習おうと思った理由が、「人の体は食べ物でできている」ということを考えさせられたからです。
きっかけは子どもの病気
食事に問題意識を持ったきっかけは、子どもたちのアレルギーによる中耳炎やアトピー性皮膚炎、喘息といった症状でした。
最初はわかりませんでしたが、アレルギーのもとを絶つように食餌療法を行なうとそれらの症状が改善されたのです。
そして鍼灸治療を学び臓腑や病気の関係はもちろん、精神や心の問題をも考えた時に飲食物を無視するわけにはいかなくなったのです。
ですから、食べる人の体質や体調を考えて、「どういう物を食べれば体調が改善するか」を考えるのです。
食べる人によって体質・体調が異なります。また、同じ人でもその時々によって体調が変わります。
ですから、体調に合わせた料理を習っています。
特に消化器の状態は大切です
西洋医学の研究でも脳神経の伝達物質であるセロトニンの90%以上が小腸で作られることがわかっています。
小腸といえば食物の栄養を吸収するだけと考えられていました。
しかしながら、それだけではなかったということです。
消化器の状態が精神にも影響を与えるのです。
うつ症状と鍼灸治療についてのブログも参考にしてください。
「うつ病(うつ症状)やパニック障害と鍼灸治療について」
健康は食べ物の影響を受けます
人の体を作るのにたんぱく質が必要だとしても、それだけでは足りません。
エネルギーを作り出すには炭水化物(ブドウ糖)が必要ですし、ミネラルやビタミンを取り込もうとすれば野菜や果物が必要です。
貧血だからと鉄分の多い食物を摂っても片手落ちで、赤血球を作るにはたんぱく質が必要です。
更に鉄分とタンパク質だけでは不十分で、ビタミンCがなければ鉄分の吸収はできないのです。
人間の体はとても良くできていますし、決して単純ではなくとても複雑で精巧に出来ています。
例え科学技術が発展してきたとは言っても、人間の体はわからないことが沢山あります。
たんぱく質が良いといっても肉類ばかり食べれば痛風になりますし、脂肪が多ければ大腸ガンの危険性もあります。
豆腐やブロッコリー、キャベツや海藻類は甲状腺の機能を低下させ橋本病になる可能性もあります。
食べることは生きるために必要です
他にも色々な事例がありますが、食べ物無くしては生きられないですし、偏った食事をすれば病気にもなります。
新陳代謝のおかげで毎日体中の細胞が新しく入れ替わっていますから、新しい飲食物を摂取しなければ生きてはいけません。
当然食べることは生きていくために必要なことです。
しかしながら、食べられるなら何でもいい、とは思いません。
出来ることなら健康に良いものを選んで食事をして欲しいと思います。
養生食という考え方
私が料理を習うのは、「美味しい料理を習って食べる」という目的ではありません。
患者さんが健康でいて欲しいと思っているので、鍼灸治療だけでなく、一人一人に合った「養生料理」を理論と実践との両面から学ぶことが患者さん達の健康に繋がると思っています。
良い食材を食べても消化・吸収することが出来なければただの毒にしかなりませんから、内臓の働きを整える鍼灸治療が必要です。
逆に鍼灸治療で内臓の働きが良くなっても、体に悪い不健康な食生活をしていては病気になってしまう、ということなのです。
それが料理教室へ通う目的となっています。
別のブログ記事も参考になさってください。
「料理教室に行ってきました」
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