暖かくなりました
長く寒い時期が終わり暖かい季節がやってきました。
きっと「過ごしやすいなぁ」「やっと春が来た」と思われている方も多いと思います。
しかしながら、すぐに梅雨の時期がやってきます。
体重の60%が水分
人間の体は体重の60%が水分だということをご存知の方も多いと思います。
生物は海水から陸に上がって進化してきたと言われています。
そうだとすれば、人間は皮膚の中に海水を保っている生き物と考えられます。
体の中の水分を逃がさず、必要なら尿や汗・呼気などで放出して、一定の塩分濃度を保って生きています。
しかしながら、梅雨は湿度が上がり、汗をかいても蒸発せずじっとりと不快な気持ちになりますし、また汗腺が閉じて汗をかけなくなることもあります。
こうなると汗をかくのが下手な人にはしんどい時期です。
肩や足腰が重だるくなる人も多いかと思います。
そういう方は食事をしてもしんどい、胸がつかえる感じがする、気持ちも体もすっきりしないという感覚を持たれるでしょう。
梅雨の時期がやってくると空気中の湿度が上がり、汗腺も閉じがちになり汗をかいても蒸発しにくく、体の中に水分が溜まりやすくなります。
飲食物からも水が作られます
実は飲食物を消化し、ブドウ糖をATP(アデノシン三リン酸)という物質に変えるときに水素が生まれます。
ATPについては調べて頂けたらわかるのですが、物質の代謝・合成の重要な役目を果たしているもので、エネルギーの放出・貯蔵を行なっています。
このATPを作った時に出てくる水素に空気中から取り込んだ酸素を化合させて水にするのです。
それで人間等の動物は空気を吸う必要があるのです。
(魚などはエラ呼吸なので、海水から酸素を取り込んでいます。)
そして飲食物を消化・吸収するときにも大量の水分を必要とします。
例えば、消化液を約7リットル出して、食事から水分を約2リットルを体内に取り込みます。
すると、小腸・大腸での吸収が約9リットル吸収し、糞便での水分吸収が約0.1〜0.2リットル排出されると言われています。
更に余分な水分は汗や尿、呼気として排出しています。
このように人間の体は大変よく出来ていて、水を取り込んだり作り出したり排泄したりしながら生きています。
しかしそれらの機能がうまく働かないと病気になっていきます。
湿邪という邪気
体内に溜まり病気を引き起こす邪気を東洋医学的には「湿邪(しつじゃ)」と呼んでいます。
様々な邪気の中の一つで、体の下方に停滞しやすいと言われています。
それは、人間の体液(血液やリンパ液等)が重力に引かれて下半身に溜まりやすいからです。
そうなると、体のあちこちで痛みが現れやすくなります。
足がむくんだり、特に下半身、腰・臀部・太もも・ふくらはぎ・足底などに重苦しい痛みが出やすくなります。
人によっては肩や首が重だるいと感じる人もいます。肩や首の重だるさから頭痛を起こす人もいます。
食事をしてもお腹がはったりつかえたり、すっきりしない感じがしたりします。
そういう人は普段から運動不足で水分が下半身に溜まっている上に、汗をうまくかけない人です。
気をつけること
梅雨に向けて気をつけることがいくつかあります。
体を冷やさない
クーラー等で体を冷やすと汗をかけなくなり、体内に水分が多く溜まりやすくなるので、更にしんどい状態になっていきます。
冷蔵庫で冷やした生野菜の食べ過ぎも体を中から冷やしてしまい、胃腸の働きが悪くなります。
畑から収穫してきた生野菜ならまだ良いと思いますが、出来れば調理をして熱を加えた野菜を食べた方が胃腸には優しいです。
発汗を促す食べ物を食べる
胡椒の様な香辛料やネギのような薬味を料理に使って発汗するようにしておくと、汗をかく練習になります。
ただあまり多く使いすぎると胃腸の負担になるので、適度にして欲しいと思います。
ビールの飲み過ぎに注意
ビールも水分が多いですし、アルコールを分解・解毒するのに大量の水(消化液)が必要になります。
そして胃腸が冷えますから胃腸の働きが低下し、早くも夏バテを経験することになります。
ですから、ビールを飲みたくなりますが、飲みすぎないように注意してください。
過ごしやすいうちに動きましょう
今は体を動かすには最適の時期です。
比較的空気が乾燥し、動いて汗をかいてもすぐに蒸発する今の時期に軽い運動をして汗を上手にかけるようにしておくと、梅雨の時期を過ごしやすくなります。
今のうちに梅雨に備えましょう
今のような天気の良い日は外出して軽く汗をかくように心掛けて下さい。
そして天候が悪い時に少しでも辛い症状が出てくれば、早めに治療に来て頂けると良いかと思います。
鍼灸治療で胃腸の働きを整え、消化吸収力を整えて、余分な水分を排泄出来る体にもっていけば、梅雨を楽に過ごせるようになると思います。
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