腰椎椎間板ヘルニアで坐骨神経痛に

坐骨神経痛腰痛が持病の方で腰椎の椎間板ヘルニアが悪化して、坐骨神経痛を発症された患者さんが来られました。
今回の患者さんは、朝起きてしばらくしてから臀部から太ももの後ろ側に「火ばしを当てられたような痛みがある」と仰ってました。
いわゆる「灼熱痛(しゃくねつつう)」です。かなりの激痛で、車で来院されるのがやっとという状態でした。

椎間板とは

首から背骨、腰骨までの骨の連なりを「脊椎」と呼んでいますが、「椎骨」という小さな骨が積み重なって出来ています。

椎骨の中心となる部分を「椎体」と呼びますが、その椎体の間には「椎間板」と呼ばれるものがあります。
椎間板は中央にゼラチン状の髄核、周囲にはコラーゲンを豊富に含む線維輪から構成されています。

椎間板ヘルニアとは

椎間板ヘルニアヘルニアとは、体内の臓器などが本来あるべき部位から「脱出・突出」した状態を指します。
ヘルニアには、「出べそ」として知られる「臍ヘルニア」や、「脱腸」として知られる「鼠径ヘルニア」などがあります。

椎骨の間にある髄核や線維輪の一部などが突出した状態が「椎間板ヘルニア」です。
ですから椎間板(ついかんばん)ヘルニアは、ヘルニアの一種です。
椎間板ヘルニアは腰部だけでなく頚部でも起こることがあります。
頚部で起こった場合、腕や指先に痺れや痛みが現れます。

坐骨神経痛とは

坐骨神経の図背骨から出た坐骨神経は、臀部を貫いて太ももの後面を下がり、ふくらはぎを通って足に分布します。
この神経の通り道が痛むのが坐骨神経痛です。
坐骨神経は凡そ小指ほどの太さですから、痛みを感じる時はかなり強い痛みになります。
この痛みは、日常生活における何気ない姿勢や動作によって引き起こされます。

梨状筋症候群でも起こります

今回の患者さんは腰椎ヘルニアが原因でしたが、臀部にある「梨状筋」に坐骨神経を挟まれ圧迫されても神経痛が起こります。
これが「梨状筋症候群」と呼ばれる症状です。
この場合は梨状筋を緩めてあげなければ、腰背部の筋肉を緩めても治りませんので、鑑別が必要となります。

手術によってヘルニアを取り去るのが一般的でした

以前はヘルニアは引っ込まないので、手術をするしかないと考えられていました。
しかし、近年MRIで観察した医師によると、中には突出した部分がなくなったり縮んだりする場合もあることがわかってきました。

また、手術を受けた患者さんと、受けなかった方を比べた研究報告があるそうで、
1年後では手術を受けたほうが良い成績でしたが、4年後にはほとんど差がなくなったというものです。

ですから椎間板ヘルニアは、もちろん例外もありますが、数年の間には治ってしまうといえます。
それはつまり、異常に飛び出したヘルニアは、自分自身の貪食細胞が異物として認識して食べてしまい無くなってしまうということです。

手術適応は一般的に、排尿障害が絶対手術適応とされているようです。
さらに、筋力低下、激しい痛みを伴う場合などに手術が考慮されます。
また、強い症状がなくとも、3ヶ月以上症状が持続する場合は適応とされることが多いようです。

鍼灸治療では

徒手検査治療前には簡単な徒手検査を行ないます。
そして、やはり太極療法(全体治療)をします。
というのも、腰や脚だけ鍼を打っても治りませんし、すぐに悪化して元の痛みが出るからです。

患者さんは右脚の痛みを訴えられていて、腰部も臀部も右側の筋肉の緊張が強くありました。
脈診・腹診をして手足に鍼治療を行ない、腰背部にも鍼治療を行なうと坐骨神経痛は治まりました。

何度か治療に来ていただいている方なのですが、どうにも飲食物の不摂生があってなかなか良い状態にはなりません。
不摂生がたたるとどうしても腰背部痛が発生し、過剰に腰背部の筋緊張が強くなると、椎間板ヘルニアを起こしかねません。
免疫系も弱っているようなので、それも合わせて治療しました。

整体やカイロプラクティックにも注意

背骨に強い力をかけるような療法ではヘルニアの悪化を招く例がたくさんありますので注意してください。

また、腰部を牽引する治療があるようですが、腰背部の筋肉が硬い状態で牽引をしても効果はありません。
筋肉を緩める必要がありますが、下手に腰を揉み解してしまうと、痛みが悪化することがありますので、お勧めしません。

治療後は普通に歩けて車で帰られました

鍼灸治療を終えて痛みも治まり普通に歩いて、乗ってこられた車で帰宅されました。
慢性疾患だけでなく急性の症状にも即効性があるところが鍼灸治療の良いところだと思います。しかも痛み止め薬は使いません。

今回の患者さんは以前から腰痛持ちで、電車に乗って座席に座ってもつり革につかまって立っていても腰が辛かったそうです。
もし腰痛持ちであれば早めに治療されることをお勧めします。
また、腰痛も含め坐骨神経痛を予防する運動も患者さんにお話しし、お勧めしています。

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