耳ツボ療法も東洋医学？
鍼灸師は本当はツボとう表現はせずに「経穴（けいけつ）」と呼んでいます。
今回はテーマからツボという表記で統一しておきます。
ツボといえば東洋医学、と誰もがそう思いがちですが、実は現在の耳ツボ療法発祥の地はフランスなのです。
1951年、フランスの医師であったポール・ノジェ博士が、彼の治療室で出会ったある女性患者の耳にある小さな火傷の痕を見て、それが地中海沿岸地域（私の記憶ではギリシャ）で数千年前から用いられていた「耳を焼いて腰痛を治す」民間療法の一つである事を知ったからだそうです。
そして「耳には人体の各器官が投影されている」として研究を発表したのが1956年だったそうです。
ポール・ノジェ博士は耳の形が胎児の姿に似ていることに注目し、各器官と耳の関わりを考えたようです（胎児投影説）。
フランスではこの治療法を「オリキュロセラピー」と呼び、WHO（世界保健機構）でも 耳には１１０個のつぼがあると認定されているようです。
一方鍼灸治療の原典とされている数千年前の中国の「黄帝内経」という書物に「耳を見ることで健康状態を知ることができる」と記述があるそうです。
ですから、鍼灸治療においても古くから耳に注目してきた記録があるというわけです。
鍼灸治療では耳にツボはありません
外耳の付け根にある経穴
残念ながら鍼灸治療の教科書には、外耳にはツボは無いことになっています。ただし、耳の付け根や耳の周囲の”頭部”にあります。
耳の付け根のツボは、耳門（じもん）、聴宮（ちょうきゅう）、聴会（ちょうえ）というツボです。
これらのツボもめったに使うことはありません。
ですから普段の治療で”外耳”に鍼を刺すということはありません。
耳ツボダイエット
かなり昔から耳ツボダイエットが流行っているようです。
やはりダイエットコントロールをして痩せたいという女性が多いのでしょう。
そしてその女心を掴んで商売したい、という鍼灸師やそうでない無資格の人や一般企業も多いようです。
知り合いの女性鍼灸師が耳ツボダイエットに挑戦して耳にジュエリーをつけていました。
耳ツボダイエットの理論は「食欲を抑えて痩せさせようとする方法」のようですが、結果的にその女性は食欲は落ちたのですが同時に代謝能力も落ちてしまったようで、両足が浮腫んでいました。
耳だけでなんとかしようと考えるのは健康的だとは思いません。やはり体全体をみて人の体質や体調も考慮に入れて、食欲を抑えつつ代謝はきちんと出来るように治療していくことが大切だと思います。
鍼灸治療では、逆に内臓の働きを整え食欲が出るようにすることも出来ますし、お酒を飲みたくないようにすることも出来ます。
痩せるにはまず糖質制限
皆さんがご存知のように、砂糖が入ったものや小麦粉製品は肥満の元です。
砂糖、小麦粉、でんぷん等の食物は消化されてブドウ糖になるのですが、ブドウ糖が血液中に多くあると膵臓からインスリンが放出されて血糖値を下げるように働きます。
血糖値がどうして下がるかというと、血液中のブドウ糖を細胞内に脂肪としてため込むからです。
それは結果的に「肥満体になる」ということです。
ですから、太らないようにしようとすれば砂糖や小麦粉製品を絶つ必要があります。
例えば食パン１枚は角砂糖17個分に相当します。角砂糖17個を毎朝食べられるでしょうか。おそらく気持ち悪くなって食べられないのではないでしょうか。
それだけの砂糖を食べれば膵臓の負担も増えますし太る一方です。ですから、パン食は肥満の元ですからやめた方が良いと思います。
ただし、人間の活動エネルギーはブドウ糖を分解することから得られるものです。ですから過激に糖質制限を行ない、「ご飯まで食べない」というのは健康に良くないと思います。なんでも程々にされた方が良いと思います。
ただ、白米にしないで、玄米を5分搗きや7分搗きにしたり、ヒエやアワなどを入れて雑穀米にして、”よく咬んで”食べると急激に血糖値があがることはありませんし、小魚や豆類、豆腐等のタンパク質と一緒に食べると良いと思います。
運動も必要です
厚生労働省が「一日一万歩」の運動が健康維持に良いとしているようですが、それは飲食物から取り込んだエネルギーを消費するのに必要な運動量ですから、余分なエネルギーを残さないのが「一日一万歩」です。
ということは痩せようと思えばそれ以上運動しなければならないということになります。
※参考ページ：厚生労働省のページ「身体活動・運動」
それでもジョギングなどは膝を傷めやすいので、普段より早歩きするウォーキングをお勧めします。
痩せるツボはあるのか？
興味のある方も多いと思いますが、「痩せるツボはあるか」という話は次回にしたいと思います。
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