3年間ステロイド剤を吸引しても良くならず

ある患者さんで喘息発作が辛いという方が、インターネットで当院のブログを見つけられて来院されました。

3年ほど前に発症し、自宅近くにある昔から通っている高齢の鍼灸師に診てもらったそうですが、お手上げだったそうです。

そこで、近所の呼吸器内科を受診しても十分に対応出来ないと断られ、大手の病院に行かれました。

病院の医師からは、ステロイド剤の吸飲と自宅で安静という指導をされたそうですが、いっこうに良くならず、インターネット検索で当院のブログを見つけられて来院されました。

対処療法ではなく原因追求

問診していくと丁度3年ほど前あたりから、ストレスの要因が発生しているようでした。
喘息発作が出るまではいたって健康で、水泳やフルマラソンをされるほど元気だったそうです。

患者さんの体を診てみると精神的ストレスから現れる反応があちこちにでています。
例えば肝の募穴である「期門」にも圧痛がありました。
これは、いわゆる「肝気鬱結」と考えられます。
肝にこもった熱が、肝上にある肺を蒸し上げて喘息発作が出たと考え施術しました。

東洋医学的に考えて身体を診る

五行相克五行論でいえば、「金剋木」という状態がよくあるもので、肺(金)の気が肝(木)の気をおさえて調節するのですが、今回の患者さんの体では逆のパターンで「木剋金」が起きている状態です。
つまり、木(肝)の気=精神的ストレスが金(肺)を剋していることになります。
「肝気鬱結」による「木剋金状態」です。
それだけ精神的なストレスがきつかったのでしょう。

身柱背中を診ると「身柱(しんちゅう)」というツボ(経穴)が酷く圧痛があり、ガチガチに詰まった状態でした。
これは昔のブログにあるように、「大人の疳の虫」を現すところです。
「身柱」はかつて「チリケ」と読み、乳幼児の夜なき・疳の虫・おねしょの治療に必要なツボです。
そして「身柱」は肺に繋がっているとされていますから、ここに異常があると呼吸にも影響が出ます。

更に「至陽」というツボが圧痛と詰まりがあり、呼吸が上手く出来ない状態であることがわかりました。

全身の調和をはかるように治療します

基本的な治療方針は、イライラからくる「上焦にある気」を下に下げながら、肝に水を送り熱を冷ますように鍼をうち、同時に全体の気血が廻るように施術する、という考え方になります。

安静にするように言われていたので運動不足から便秘がちになっていたので、それに対処するツボにも鍼を打っておきました。

左肩、左の首から後頭部、左の腕なのにも鈍重感(にぶく重い痛み)を感じていたのですが、これは食事の問題と運動不足が絡んだものです。
治療だけでなく食事の相談と運動も含めてお話させていただきました。

病は気から

「病は気から」といいます。
一番分かりやすい事例が精神的ストレスからくる胃潰瘍でしょう。
今回の患者さんは親しい人間同士のちょっとしたトラブルからくる精神的ストレスが原因で喘息発作が起こったと考えられます。

最初の治療の後に、「期門」を含め腹診で圧痛があった場所が緩んだり痛みが消失していたので、驚かれていました。
朝のうち喘息発作が出そうだったと仰ってましたが、治療後は楽になったと喜んで帰って行かれました。
完治するまでには、しばらく通院が必要でしょう。

以下のブログも参考になさってください。

避けて通れない「陰陽と五行論」(2)

喘息と鍼灸治療

大人の疳の虫(かんのむし)と身柱穴

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