一般的に、というか基本的に現代の鍼灸治療の鍼は刺して使いうのが主な使い方です。
しかしながら、「刺さない」いや「刺せない」鍼を用いて、皮膚上への刺激だけで治療する方法もあります。
古代九鍼
古代中国の記録には9種類の鍼の形状があり、それらを用途にわけて使っていたそうです。
ウィキペディアから画像引用
古代九鍼とは、古代の中国で治療に用いられていた9種の鍼の総称です。
学校でもさらっと習いますが、現代において使うことは稀です。
また、現代の鍼灸治療は基本的に意図的に出血させては行けない治療方法なので、現在使用禁止となっている種類の鍼もあります。
意図的に出血させて治療できるのは医師だけです。
用途によって3種類
九鍼は「刺入する鍼」「皮膚を破る鍼」「刺入しない鍼」の3種類に分けられています。
「刺す鍼」
大鍼(だいしん)、長鍼(ちょうしん)、毫鍼(ごうしん)、圓利鍼(えんりしん)
「皮膚を破る鍼」
鈹鍼(ひしん)、鋒鍼(ほうしん)、鑱鍼(ざんしん)
「刺さずに接触・摩擦する鍼」
鍉鍼(ていしん)、円鍼(えんしん)
長鍼といって30cmほどの長さのある鍼を使う鍼灸師の先生もいらっしゃいますが、私自身はそんな長い鍼を使う必要性を感じていないので、使いません。
現代の鍼灸治療で主に使われているのは、毫鍼の現代版です。
もっとも太さが古代のものと現代のものとは明らかに異なり、現代の毫鍼は髪の毛の細さ位しかありません。
イチョウの形をしたもので皮膚を擦って刺激を与えて治療する鍼や、美顔ローラーを小さくしたようなもの、先の丸い円鍼などは現代でも使われています。
金色の鍼は太くて刺さずに皮膚に当てて使います。
ローラー鍼は皮膚の上を転がすようにして使います。
イチョウ型の鍼は丸い部分を皮膚に当てて擦るようにして使います。
そういった鍼は主に幼児に使う場合が多いです。
刺す鍼を刺さずに使う
主に使われている刺す鍼をあえて刺さずに皮膚に当て、痛みを止める治療をすることがあります。
たとえば、片頭痛やマウス操作で使いすぎた指の痛みをとったり、手や足の局所的な痛みを取るためにそういう手技を用いることがあります。
しかしながら対処療法なので、根本から治そうとするとやはり患者さんの身体全体の調整をするために手足や他のツボを使うことになります。
それでも鍼を刺さずに痛みを取る治療を行うと、大概の患者さんは驚かれます。
さすると痛みが和らぐ
ところで先週のネットニュースにも興味深いものがありました。
『痛み、「さする」と和らぐ仕組み解明 群大大学院・柴崎准教授』
痛みが和らぐだけでなく神経細胞も再生するそうです。
刺さずに触れるような鍼治療で痛みを取ることができる理屈はこれかもしれません。
一方で科学的な根拠は別に、鍼治療によって痛みを取る方法を編み出した先人達はすごいと思います。
たとえばですが、転倒などで痛い思いをしたときに思わず手を当てて擦るというのは、本能的に擦ると痛みが和らぐことを知っているのかもしれません。
そして、人間の体はまだまだ未知の部分が多いというのも驚きです。
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