整体師は国家資格ではありません
今日は硬い話で申し訳ありません。
時々「整体師」という言葉をご覧になる方も多いでしょうし、肩こりや腰痛を治したくて「整体」というキーワードで検索される方も多いでしょう。
しかし、「整体師」という国家資格はありません。
独立開業して他人の体に施術を出来る国家資格は、医師、鍼灸師（厳密にははり師、きゅう師）、柔道整復師（昔はほねつぎ、今は整骨院や接骨院の資格）、そして、あんまマッサージ指圧師といった資格です。
私たちの国家資格は、専門学校に通い知識だけでなく技術も学び、国家試験に合格しなければ手に入れることは出来ません。
「今日から整体師！」と名乗れるようなものではなく、学校に通うのも国家資格を受けるのもお金がかかるのです。
そして他人の体に施術をするわけですから、国家資格となっているのです。
ですから、「今日から私は整体師です！」といって開業することは、厳密に言えば違法ということになります。
なぜ処罰されないかというと、厚生労働省と地方行政が怠慢だからです。
理学療法士や作業療法士について
理学療法士や作業療法士という国家資格もありますが、その方達は独立開業することは認められておらず、病院に勤め、医師の指示のもとで身体機能の回復のためのリハビリテーションを行なうのが仕事です。
ほかにも言語聴覚士や視能訓練士などリハビリテーション専門職と言われる資格があります。
理学療法士及び作業療法士法 第十五条 2項に、
「理学療法士が、病院若しくは診療所において、又は医師の具体的な指示を受けて、理学療法として行なうマツサージについては、あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律（昭和二十二年法律第二百十七号）第一条の規定は、適用しない。」
と明記されています。
つまり、病院や診療所で医師の指示を受けてマッサージや運動療法を行なうことはかまわないが、独立開業してマッサージや運動療法をしてはいけないということです。
ずんずん運動のNPO代表も無資格
マッサージに首を捻る手技はありません。
「ずんずん運動」で有名になった自称ベビーマッサージ（首を捻る行為はマッサージではありません）を行なっていた新潟のNPO法人代表も、医学知識は無い、と自らが発言していた上に、首を捻るというありえない施術で子どもの命を奪い有罪判決を受けています。
当院のブログもご参照ください。
「無資格者によるベビーマッサージ死亡事故の続報です」
元国会議員も骨折の被害にあっていた
元参議院議員の外山いつき氏のブログに、
「参議院の議員会館には旧会館の時代からマッサージ屋さんが入居してました。移動が多く、運動不足になりがちの為、身体のメンテの為に旧会館の時代から定期的に身体のこりをほぐしてもらってました。
旧会館時代は、おばちゃんがやってる指圧。新会館になって大手チェーンの「てもみん」になりました。
そして、三月に施術中、普通のマッサージ屋ではされた事のない、肋骨を揉まれて骨折・・・・。治るまでに相当な時間がかかりました。
ニュースを見ると、５年間で８００件の相談が寄せられているようですが、私には氷山の一角にしか思えません。」
と記載されています。
外山いつき氏のブログ
国の政治をあずかる議員会館に無資格施術者の店舗を入れるというのはどうかと思います。
更に言えば、あんまやマッサージの手技に肋骨を揉むという施術はありません。
接骨院と整骨院
柔道整復師が開業する時に使われる名称ですが、どちらも昔は「ほねつぎ」と言われていたものです。
柔道整復師はその名の通り、柔道でおこるケガ（骨折・脱臼・捻挫・肉離れ）を治すことが仕事です。
現在は柔道をする人も多くはないですし、骨折や脱臼を起こせばまず病院に行かれます。
整骨院や接骨院では、せいぜい捻挫や肉離れを治すことが多いと思われます。
つまりケガを治すところであって、決して慢性的な肩こりや腰痛を治すところではありませんし、その他の症状や病気を治すところではありません。
そして、整骨院や接骨院で、肩凝りや腰痛があるからと健康保険であんまやマッサージをしてもらうことは違法となります。
美容院のマッサージも違法
昔務めていた鍼灸整骨院で患者さんから聞いた話ですが、美容院で髪を切ってもらった時に、サービスだからと肩を揉まれた際に首のヘルニアが悪化したそうです。
美容院に勤める美容師は、は専門学校に通い国家試験を受けて美容師としての資格を取得するものです。
ですから髪を切ったり染めたりする以外のことを行なうのはおかしいのです。
例えば、鍼灸師がサービスだからと患者さんの髪を切ったらどうでしょうか。おかしくないですか？
歯科医師が「リンパケア」といって整体やマッサージを行なっている事例もありますが、もし独立開業して施術するのであれば、あんまマッサージ指圧師の国家資格を取得しなければなりません。
あんまマッサージ指圧師の資格を確認してください
カイロプラクティックもオステオパシーも、手技によって行われるすべての施術は我が国では「あん摩マッサージ指圧」の中に含まれます。
あん摩マッサージ指圧師免許を持たなければどんな名称であれ手技よる施術はできないのです。
あんまは衣服の上から筋肉を揉みほぐすことが主な施術で運動療法もあります。
マッサージは素肌に直接マッサージ用のオイルや粉末を塗って滑りを良くして、血液やリンパ液を押し流すことが主な施術になります。
例えば腎臓疾患で足が浮腫んだり、乳がんの手術の後にリンパ節が腫れて腕が浮腫んだりした場合等にマッサージを行ないます。
指圧も衣服の上から施術をするもので、ツボ（経穴）を押すことや筋肉の凝り固まったところを刺激したり、背骨や骨盤を矯正する手技も含まれています。
看板を見ればわかります
衣服の上から筋肉を揉み解すのはあんまです。
世間的にはマイナーな免許かもしれませんが「あん摩マッサージ指圧師」という免許がありますのでこれを持ってない人から受けるのは避けてください。
看板の見分け方は「余計な事が書いていない」ということです。
細かく料金メニューを載せる事は、あんまマッサージ指圧師の免許に関する法律で禁止されています。
あんまマッサージ指圧師の免許を持っていない人は看板に「マッサージ」という文字を使うことも禁止されています。
ですから、「整体、クイックマッサージ、もみほぐし、エステ、セラピスト、整顔、リラク、リラクゼーション、カイロプラクティック、オステオパシー、ボディケア、フットケア、足裏マッサージ、タイ式マッサージ、韓国式エステ、癒し～、推拿、ストレッチ、経絡リンパセラピー、背骨矯正、骨盤矯正、Dr.ストレッチなどといった紛らわしい名称の店が乱立しているのです。
クイックマッサージというのも無資格ですから、看板に料金表が書かれているのです。
自分の身は自分で守る
国や行政が野放しにしている以上、自分の身は自分で守らなければならない世の中になりました。
テレビやインターネットで様々な情報がながされていますが、情報の質については玉石混合です。
本当の情報もあれば、ウソの情報もあります。
自分の健康や命を守ろうと思えば、自分で情報を集めて自分で判断しなければならなくなりました。
体調が悪いと感じたら、まず病院に行って医師に検査を頼み診断を受けて下さい。
検査をしても異常がないのに体調が優れない場合は、国家資格を持つあんまマッサージ指圧師か鍼灸師にみてもらってください。
どうかご自分の体を預ける場合は、国家資格を持っている人にしてください。
最後までお読みいただきありがとうございます。
三宮まで大阪から電車で21分、明石から電車で15分、三宮駅から徒歩10分のリンゴ健康院です。
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整体指圧マッサージの他、主に鍼灸治療を行なっています。
