クイックマッサージという言葉が流行った事があります。他にもエステサロンやリラクゼーションルームなど色々な名前でマッサージや按摩(あんま)、指圧をする店が多く見られます。
しかし、マッサージや按摩、指圧といった手技療法は「あん摩マッサージ指圧師」という国家資格がなければ法律上、他者に行ってはいけないことになっています。
(もちろん、医師免許をもつ医師は按摩、マッサージ、指圧を行うことは可能です。)
ところがどういうわけか(おそらく職業選択の自由の名の元で)無資格者がマッサージや按摩を行っており、事故が絶えません。
あん摩マッサージ指圧師は、専門学校で解剖学や生理学、病理学などの座学と実技実習を終えて卒業試験を受けて卒業し、国家試験を受けて免許を持った者のみがなれる資格ですから、治療院の看板にも堂々と「マッサージ」や「あんま」と表示することができますし、厚生労働大臣の署名の入った免許証を持っています。(整体師やカイロプラクター、エステティシャン等は国家資格ではありません。)
「あん摩マッサージ指圧師」の免許を持たずに「マッサージ」という名称を使ったり表示することは法律違反です。
「整体」や「カイロプラクティック」、「中国整体」や「足のツボ療法(リフレクソロジーを含む)」「リラクゼーション」などの名称でのマッサージ業類似行為をする者が後を絶たないのが現状です。そのせいで骨折や脊髄損傷、捻挫やヘルニアの悪化など事故が絶えません。今年は事故が最多だったそうです。
以下に産経新聞のニュースを掲載しておきます(ソースリンクも併記しておきます)。
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【あばら骨折・脊髄損傷…マッサージ店「けが人」続々 背景に無資格施術】
整体やマッサージといった医療類似行為について昨年度、国民生活センターと全国の消費生活センターに寄せられた相談が計1265件に上り、過去最多だったことが4日、分かった。相談は年々増える傾向にあり、中でも、「マッサージを受けたら骨折した」など身体被害を訴える相談が増加している。
「ブキッ」。埼玉県に住む60代の女性は昨年4月、近所のマッサージ店で1時間半にわたって全身の指圧を受けたとき、鈍い音とともに胸に激痛を覚えた。
息ができないほどの痛みだったが、数分で元に戻ったため、施術者に何も言わずに帰宅した。しかし、その夜に発熱して痛みが再発したため、整形外科で診てもらったところ、あばら骨の骨折と判明した。全治1カ月の重傷だった。
国民生活センターによると、平成19年4月~25年7月末、健康維持や疲労回復を目的とした器具を使わない手技での医療類似行為に関して計5752件の相談があった。昨年度は1265件で統計を取り始めてから過去最多だった。
この女性と同じように、体に何らかの症状が出たという相談は、19年度の115件から年々増加。22年度には199件になり、昨年度は257件で過去最多。今年度も7月末時点で57件とほぼ同じペースで推移している。約8割は医療機関を受診したといい、うち3割以上は3週間以上の治療が必要な重傷だった。
症状は骨折だけでなく、背骨を強い力で押されたことによる神経・脊髄損傷や、おきゅうでやけどしたという皮膚障害、関節を無理にひねられたことによる捻挫など。同センターには、「鍼灸院に治療費を払ってもらえないか」「慰謝料を請求したい」という相談がある。
なぜ癒やされるはずの場所で、身体被害が続出しているのか-。同センターの担当者は「国家資格がなくても施術できる医療類似行為がある」と説明する。
医療類似行為の中で、国家試験があるのは、あん摩マッサージ指圧、はり、きゅう、柔道整復。その他の整体やカイロプラクティックなどは資格がなくても開業できる。相談の4割以上は、こうした無資格施術に関するものだ。無資格の施術所でも「マッサージ」という用語を使って宣伝する店は多く、資格のあるあん摩マッサージ指圧師がいる店との区別は難しいという。
同センターは、店に行く前の入念な情報収集や、体に異変を感じている場合には医師に相談することを推奨している。
ニュース・ソース
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あん摩マッサージ指圧師関連団体は厚生労働省に対して法改正など定期的に協議しているそうですが、放ったらかしになっているのが現状です。
当然でしょうが、一般の方には免許をもっているかどうかはわかりませんし、いちいち聞かないでしょう。
あるいは、有資格者であるか無資格者であるか区別がつきにくいと思います。
(按摩、マッサージ、指圧の区別についてはいずれ別の記事でご説明します)
美容師に肩を揉んでもらってから首のヘルニアが悪化したという話も聞いた事があります。
安易に「整体院」や「クイックマッサージ店」「リラクゼーションサロン」や「エステサロン」に行かず、きちんと国家資格を持った人に治療をしてもらえたらと思います。
健康になりたいのにケガをしては元も子もありませんから。
それから余談ですが、鍼、灸、按摩、マッサージ、指圧、柔道整復(骨折や脱臼の整復)は、医業行為であって、医療類似行為ではありません。これは昭和23年、厚生省(現厚生労働省)の鈴村信吾事務次官と芦田定藏技官の共著により発行された『あん摩、はり、きゆう、柔道整復等営業法の解説』に「医業類似行為ではない」と明確に書かれていますから、お間違いのないようにしてください。医業行為であるからこそ医師が行う事も可能であり、医師の同意書があれば保険治療ができるのです。
くれぐれも無資格の施術にはお気をつけください。