当院にも時々うつ病(うつ症状)やパニック障害の患者さんが来られることがあります。

 そういう患者さんには、心療内科などで向精神薬や睡眠導入剤などを処方されるのが一般的だと思われます。では、鍼灸治療ではどう考えるのか。
 以前のブログにも書いていますが、五臓にはそれぞれ関連する精神状態があります。そこでまず、五臓の働きの調和を整えることを考えます。

 下の五行色体表をご覧下さい。これらの調子が悪ければ、その経絡の関係する組織や精神状態にまで影響がでる、という考え方が根本にあります。(五臓と五腑は表裏関係にあります。)

人体
五臓
五腑小腸大腸膀胱
五志(五情)

 ※ここでは感情や精神状態に関する項目だけを抜粋していますが、五臓の相互関係や詳しい内容の表は以前のブログをご覧下さい。

 ある人達は「そんなバカな」と考えるかもしれませんが、あくまでも東洋医学的な考え方であり、この考え方を持って鍼灸治療を行なって精神状態を整えてきた歴史があるということをご理解ください。

 ところが一方西洋医学の世界でも、胃腸という消化器、特に小腸の働きを研究することが盛んです。
 例えば、「腸は考える」(藤田恒夫著:岩波新書)によると、概略の部分で、

「人間のからだの中でも軽く見られがちな胃や腸。しかし、これらの器官は、食物の成分をすばやく認識したり、毒素の排出を指令するなど、脳と同じ原理で絶妙な働きをしている。」

と書かれています。

 そして「病気にならない生き方」(新谷弘実著:サンマーク出版)には、

「また近年、アメリカで脳に存在する神経伝達物質「セロトニン」が腸からも発見され、関係者の注目を集めている。しかもセロトニンは全体の95%が腸で作られていたことが判明した。この発見をしたM.D.ガーション医学博士は、進化は「頭蓋と腸の両方にそれぞれ別の感情をもつ脳を発達させた」と、感嘆をもって述べている。」

とあります。

 更に「内臓感覚 脳と腸の不思議な関係」(福土審著:NHKブックス)の概略には、

「「脳腸相関」の不思議な世界 ストレス社会を象徴する病い「過敏性腸症候群」。下痢や便秘などの症状が腸に出るのは、単に脳がストレスや不安を感じるからではなく、実際に内臓の感覚が鋭敏だから。臨床や実験から得られた知見によって、腸の状態が脳の情動形成にストレートに影響することが明らかになったという。」
と書かれています。

 そして文中には、

「東北大学の遠藤由香と吉澤正彦は、IBS(過敏性腸症候群)とパニック障害がしばしば合併することを報告している。」

とあります。

 CTやMRIは勿論、レントゲン撮影装置や電子顕微鏡などがなかった時代の鍼灸治療の効用に、西洋医学の方面から謎が解き明かされて来ているようで大変興味深く感じます。

ここで患者さんの声紹介をご紹介させていただきます。

うつ症状の患者さんの感想

 この方は精神的な辛さが体調不良を起こした典型的な患者さんでした。そして体調が悪くなると今度は元気が出ず精神的にも辛くなっていき悪循環に陥っていかれました。「心に鍼を打つ」というと奇妙な表現ですが、そういう気持ちで患者さんの話を十分に聞かせていただいて、溜まっている感情を吐き出してもらいながら、食事や生活の改善を相談させていただき、施術も続けさせていただき緩解されました。

 他にもパニック障害の方が来られていましたが、食事や生活習慣を見直していただき、施術を行なっていく中でパニック障害が起きなくなっていかれました。最初は電車に乗るだけで動悸がしたそうですが、施術を続け生活を見直していただいて電車に乗っても動悸がしなくなったそうです。

 当院では、食事や睡眠、運動なども相談しながら生活全般を改善していただき、今までに強烈な精神的負担が無かったか、ということを十分にお話を聞かせていただきながら、施術をさせていただいています。
 出来れば薬に頼らず満足のいく睡眠をとることができ、普通に生活出来るようになっていただきたいと思っています。

最後までお読みいただきありがとうございます。
三宮まで大阪から電車で21分、明石から電車で15分、三宮駅から徒歩10分のリンゴ健康院です。
姫路市、加古川市、明石市、神戸市須磨区、灘区・東灘区・北区・西区・中央区、豊中市、西宮市、芦屋市、羽曳野市、大阪市、奈良市など遠方からも来られます。
整体指圧マッサージの他、主に鍼灸治療を行なっています。

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参考文献
・腸は考える 藤田恒夫著:岩波書店
・内臓感覚 福土審著:NHKブックス
・図解病気にならない生き方 新谷弘実著:サンマーク出版