以前来られた患者さんがめばちこが出来て眼科に行ったらピンセットで無理やり潰されたので、非常に痛い思いをしたと仰ってました。
「めばちこ」という言い方は関西の方言のようで、一般には「ものもらい」というようで、「麦粒腫」と書きます。

この「めばちこ」は「黄色ブドウ菌」が原因で起こるとされていますが、健常者の体にも存在しています。ところが何らかの原因で免疫力が低下したときに、この「黄色ブドウ菌」に負けてしまって発症するようです。
「ものもらい」は「細菌感染」が原因なので移るような気がしますが、元気であれば、人から移ることはもちろんありません

この「めばちこ」は方言があるようで、地方によって色々な言われ方をするようです。
昔の日本には、他人からものを恵んでもらうとこの病気が治癒するという迷信が存在したことに由来するそうです。

この「めばちこ」には二種類あるとされています。
それぞれ、
・麦粒腫(ばくりゅうしゅ)
・霰粒腫(さんりゅうしゅ)
です。

一般的にはまぶたが赤く腫れる症状

一般的に「まぶたが赤く腫れている」状態をひとくくりに「めばちこ」と呼ぶことが多いようです。
Wikipediaによると、

麦粒腫:
“麦粒腫(ばくりゅうしゅ)とは、まぶたにあるマイボーム腺やまつ毛の根もとの脂腺の急性化膿性炎症。マイボーム腺にできるものを内麦粒腫、まつ毛の根もとにできるものを外麦粒腫という。主に黄色ブドウ球菌の感染を原因とし、まぶたの裏側などが腫れて痛む病気。獣医学領域では老犬や馬に認められる。”

霰粒腫:
“まぶたの裏側が腫れ、時には赤くなる。通常、痛みやかゆみはない。美容的に悪くなることがある。
マイボーム腺の出口がつまり、中に分泌物がたまったもので、麦粒腫(ものもらい)と異なり、通常細菌感染を伴わない。霰粒腫に感染を伴ったものを急性霰粒腫と呼ぶ。”

マイボーム腺とは、まつ毛の根元にある脂肪を出して眼に潤いを与える分泌腺です。

一般的な治療方法は、麦粒腫は「細菌感染」が原因なので、抗菌剤の目薬や抗生物質などの内服薬を使うそうです。霰粒腫は菌が原因ではなく「脂の塊」が原因であり、
・小さい塊であれば自然吸収を待つ
・大きい場合は、ステロイドを塊に注射したり、手術を行う
という対処法になります。

ところで鍼灸師ならどうするか

鍼灸師にとっては有名な書籍である「鍼灸真髄」からの抜粋ですが、この「めばちこ(ものもらい)」の特効穴があります。
それが「二間(じかん)」という経穴(ツボ)です。

二間
「食指の第一及第二節の関節部横紋の内角。指を曲げて取る」
〔主治〕小児疳病(疳の虫)の要穴。眼の麦粒腫にもきく

と書かれています。

私の家族もたまに「めばちこ」になりますが、お灸をすえることで治療しています。
右目なら右の人差し指、左目なら左の人差し指にお灸をすえます。
お灸をすえて一晩寝たら翌朝には腫れがひいて違和感が緩和されます。
ただし、それでも治らないほど免疫力が低下している場合は、全身の経穴を使って体調を整えて、最後にこの「二間」にお灸をすえます。

実は今と昔とではツボの一が違います

この「二間」という経穴は、WHO/WPRO(WHO西太平洋地域事務局)が標準化をはかり、日本、中国、韓国で協議して決めてしまったので、かつて日本で使われていた場所とは異なっています。この絵図の場所は日本古来使われてきた場所なので、現在の鍼灸学校の教科書とは場所が異なります。

西洋人はなんでも合理的に考えるようですし、中国政府は自国が鍼灸治療の起源であるという自負があるのでしょうが、効果がなければ意味がありません。
私はかつて日本で使われてきた場所を治療点としてお灸をすえています。治ればそれで良いと思います。

先の患者さんは治療した翌日には「めばちこ」が緩解していて喜んでいただけました。

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参考文献:「鍼灸真髄」 代田文誌著 医道の日本社
「WHO/WPRO標準経穴部位 日本語公式版」 原著:WHO西太平洋地域事務局 監訳:第二次日本経穴委員会 医道の日本社